選ばれるのではなく選ぶもの
信じるだけじゃなく信じられるもの
守られるのではなく守るもの

そんな誰かに出会いたい

息が白い
寒い朝に


最初からわかっていた事
これからも変らない事
ため息の夕べの事

抱きしめていた

眠れる
長い夜に

差し出す手をにぎりかえして

日はとうに沈んだあと。
交差点のコンビニを通り過ぎて
北、西、南の順に
平均520歩ほど歩いたところ、
周りに街灯のない暗い空き地がある。
ここで僕らは上を見上げる。

あるヤツは三脚にカメラをつける。
あるヤツは望遠鏡を設置する。
君と僕とはただ上を見上げる。

でも最近君が来なくなった。

南天を見上げる。
冬の６つの星座から
１番明るい星だけを取ってつなげると
細長い６角形になる。
冬のダイヤモンドって呼んでる。

　──ダイヤモンドの下側は
　　　冬の大曲線になってるね

先輩がつぶやいた。

　──なんですか、それ？
　──ふたご座ポルックスからたどっていって
　　　土星を通ってシリウスまで
　　　土星がないと曲線にならないね
　　　今年しか見れない形だ

そっか、土星は動いていってしまうからな…


ねぇ、

君はもう星空を見には来ないのかい？

春からの短い間だけど、
僕らは一緒に空を見上げてきた。
でも恒星みたいに留まっている僕と違って、
君は動いていってしまう人なんだね。

寂しいけど引き止めない。
一緒にいる間、楽しかった。

君がいなければ大曲線はできなかった。

今年限りの冬の大曲線。
丸い虹彩に飾られたダイヤモンドを
僕はしっかり目に焼き付けた。


はっぱ〜電気　アルタイル様

君のいない景色もいつしか慣れてしまって
泣いてばかりいた僕も強くなって　何度目の冬だろう
目を閉じて直ぐに浮かんだ君の横顔ももう
時間をかけても中々描けないや　ねぇ
巡る季節は君の残像を薄めて
降り積もる雪は僕を包むように見せかけて
君の面影を蝕んだ

怯えてるのは今も僕の方だよ
震える指で記憶の隅に触れる
胸が疼くのは
君をまだ忘れてやしないから


　君がソレを望むなら　二条様

いつかあなたに言おうと思って、

大切に取っておいた言葉たち。

いつかもう少し自信が持てたら、

はっきりと伝えたかった言葉たち。

いつかあなたの顔を見ながら、

心から送りたかった言葉たち。

いつかはもう来るはずはなく、

届けるのが遅すぎた言葉たち。





がいろとう　銀じる様